コンバージョン偏差値スキャナーコラム

2026.09.12 約9

20業種603サイトを診断したら、全業種でAI検索対策が最下位だった

実際に診断した603サイトの実測データから、構造化データの実装状況を業種・業態別に集計しました。来店型サイトの87%、EC型の100%が、自社の商売をAIに読める形にできていません。

「AI検索対策をしたほうがいい」とは言われるものの、実際のところ、日本のサイトはどのくらい対応できているのか。

推測ではなく実測で確かめるために、20業種603サイトを同じ基準で診断しました。中小企業の店舗サイトから上場企業のコーポレートサイトまで、業種ごとに30サイトずつです。

結果は予想以上にはっきりしていました。20業種すべてで、AI検索対策が4つの評価軸のうち最下位でした。例外は1業種もありません。

この記事の数字はすべて、2026年9月時点・603サイトの実測値です。

603サイトの実測:AI検索対策だけが突出して低い

診断では、サイトを4つの軸で採点しています。検索で見つかるか(SEO集客)、AIに引用されるか(LLMO)、土台が壊れていないか(サイト基盤)、問い合わせまで辿り着くか(UI/UX)の4つです。

603サイトの平均は次のようになりました。

4軸の全体平均。LLMOだけが43点と突出して低い

評価軸 平均スコア
サイト基盤 69
UI/UX(CRO) 62
SEO集客 54
LLMO(AI検索) 43

表① 4軸の全体平均(603サイト・100点満点)

サイト基盤が69点というのは、HTTPS化やモバイル対応といった基本的な部分は、多くの会社がすでに手を打っているということです。SEOも54点で、それなりに意識されています。

対してLLMOは43点。1軸だけ明確に取り残されています。

そして重要なのは平均値そのものではなく、その内訳がどの業種でも同じだったことです。20業種それぞれで4軸の平均を出したところ、すべての業種でLLMOが最下位でした。業種による得意不得意ではなく、業界を問わず同じ場所が空いているということになります。

構造化データが1件も無いサイトが45%

LLMOの中身を、もう少し具体的な数字で見てみます。

構造化データ(JSON-LD)が1件も検出されなかったサイトは、603件中273件。**全体の45%**でした。

これは一部の遅れた会社の話ではありません。ほぼ2社に1社が、AIや検索エンジンに向けて自社の情報を渡す仕組みを、まったく持っていない状態です。

実装されている型が「器」の情報に偏っている

では、残りの55%は何を実装しているのか。型ごとに数えると、はっきりした偏りが出ました。

構造化データの型 実装サイト数 実装率 何を説明する型か
BreadcrumbList 214件 35% パンくずリスト
WebSite 207件 34% サイト名
Organization 167件 28% 会社の基本情報
WebPage 122件 20% ページであること
CollectionPage 55件 9% 一覧ページであること
FAQPage 52件 9% よくある質問
Question 52件 9% 個々の質問
Article 32件 5% 記事
ImageObject 26件 4% 画像
LocalBusiness 19件 3% 店舗の営業情報

表② 実装されている構造化データの型(上位10・603サイト中)

上位4つを見てください。パンくず、サイト名、会社情報、ページ種別。どれも「このサイトはこういう器です」という説明であって、そこで何を売っているかの説明が1つも入っていません

上位4つは、多くの場合CMSが自動で吐いている

BreadcrumbListやWebSiteは、WordPressのテーマやSEOプラグインが自動生成することが多い型です。実装率が3割前後で揃っているのは、担当者が意図して入れたというより、CMSの標準機能で入った結果という構図が見えます。

つまり多くのサイトは、構造化データを「やっていない」のではなく、自動で入る範囲で止まっている。ここから先、自社の商売を説明する型を足す作業が、手つかずで残っています。

来店型302社の87%が、店舗情報を機械に読める形にしていない

ここからが、今回の診断で最も差が出た部分です。

603サイトを業態で分けると、来店・来院がゴールのサイトが302件ありました。飲食店、美容サロン、歯科医院、整体院、介護施設、自動車販売店などです。

この302件のうち、店舗系の構造化データ(LocalBusiness、Restaurant、Dentistなど)を実装していたのはわずか39件。残る263件、87%が未実装でした。

来店型302サイトの業種別、店舗系スキーマ実装数

業種 実装数
教育・スクール 0 / 30
美容・サロン 1 / 33
飲食 1 / 30
自動車販売・整備 2 / 30
介護・福祉 2 / 30
結婚式場・ブライダル 3 / 30
整体・治療院 3 / 30
観光・宿泊 5 / 30
歯科 9 / 29
医療・クリニック 13 / 30

表③ 来店型サイトの店舗系スキーマ実装数(業種別)

「書いてある」と「読める」は別のこと

誤解のないように書いておくと、これらのサイトに営業時間や住所が載っていないわけではありません。ほとんどのサイトにちゃんと載っています。

問題は載せ方です。画像の中に文字として入っていたり、表組みにそのまま書かれていたりして、人間の目には読めても、機械には意味が取れない形になっています。

これが何を招くか。誰かがAIに「近くの◯◯、何時までやってる?」と聞いたとき、AIはあなたのサイトから答えを作れません。営業時間が書いてあるページを見つけていても、それが営業時間だと確定できないからです。結果として、すでに店名を知っている人の指名検索でしか辿り着かれない状態が続きます。

来店が売上に直結する業種ほど、実装されていない

表③を見て意外に思われるかもしれません。飲食が30社中1社、美容・サロンが33社中1社、教育・スクールに至っては30社すべてが未実装です。

来店してもらわないと売上が立たない業種ほど、来店に必要な情報を渡していないという逆転が起きています。

相対的に進んでいるのは医療・クリニック(13/30)と歯科(9/29)でした。この2業種は医療機関向けのCMSやテンプレートが普及しており、診療時間や診療科目を構造化する仕組みが最初から入っているケースが多いためと考えられます。裏を返せば、個社の意識の差ではなく、使っている制作基盤の差で決まっているということです。

EC30社のうち、商品情報を構造化していたのは0社だった

もう1つ、極端な結果が出ました。

ECサイト30社を調べたところ、商品情報を構造化する型(Product、Offer)を実装していた会社は0社でした。

ECサイトは、価格、在庫状況、レビュー評価という、構造化データに最も向いたデータを毎日扱っています。それを持っているのに、検索エンジンとAIには1社も渡していませんでした。

母集団が30社なので断定は避けますが、少なくとも今回調べた範囲では例外がありませんでした。

FAQは作ってあるのに、8割がスキーマ未実装

FAQページを持っているサイトは603件中262件ありました。全体の4割強です。

そのうち、FAQPageの構造化データを実装していたのは52件のみ。210件、割合にして80%が、せっかく作ったFAQを機械に読めない形で置いています

FAQは、AI検索がとりわけ引用しやすい形式です。質問と回答が1対1で対応していて、そのまま答えとして使えるからです。コンテンツはもう存在していて、あとはマークアップするだけという状態のサイトが、200社以上ありました。

なぜ、こうなるのか

ここまで一貫して見えてくるのは、能力や予算の問題ではないということです。上場企業のサイトでも未実装は珍しくありませんでした。

実務の感覚で言うと、原因は構造化データが発注書に入らないことにあります。

サイトをリニューアルするとき、見積書に並ぶのはデザイン、コーディング、CMS構築、撮影といった項目です。構造化データは、入れても画面の見た目が1ミリも変わりません。発注側から見て何が良くなったのか確認しようがなく、制作側から見ても提案しにくい。結果として誰も言い出さないまま、対象から外れます。

さらに、公開後も効果が見えません。アクセス解析を見ても「構造化データ経由の流入」という項目は出てきません。誰も測っていないものは、誰も直しません。

この10年、私はサイト改善の現場でこの構図を繰り返し見てきました。技術的には数時間で終わる作業が、何年も手つかずで残るのは、難しいからではなく誰の担当でもないからです。

何から手をつけるか

全部やろうとすると手が止まります。業態ごとに、まず1つだけ選ぶとすればこうなります。

あなたのサイト 最初に入れる型 効果が出る場面
店舗・来院型 LocalBusiness系(Restaurant、Dentistなど業種別の型) 「近くの◯◯」「◯◯ 営業時間」への回答
ECサイト Product / Offer 商品名・価格での検索、AIの商品比較
BtoB・リード獲得型 Organization+FAQPage 会社の識別、サービスに関する質問への回答
共通(FAQがあるなら) FAQPage AIが最も引用しやすい形式

表④ 業態別・最初に入れるべき構造化データ

FAQがあるなら、FAQPageが最短

すでにFAQページを持っているなら、ここが一番早く効きます。コンテンツを新しく作る必要がなく、既存の質問と回答をマークアップするだけだからです。今回の調査で210社が該当しました。

制作会社への伝え方

「構造化データを入れてください」だけでは、たいてい話が進みません。前述のとおり、効果が見えないので優先度が上がらないためです。

伝えるなら、対象と型を指定してください。たとえば「店舗一覧の各ページにLocalBusinessを入れて、営業時間・住所・電話番号・定休日をプロパティに含めてほしい」「よくある質問のページにFAQPageを入れてほしい」という粒度です。ここまで具体的なら、作業量が見積もれるので見積書に載ります。

自社サイトがどうなっているか確かめる

自分のサイトに構造化データが入っているかは、Googleのリッチリザルトテストで確認できます。URLを入れると、検出された型が一覧で出ます。

ただし、これで分かるのは「入っているか」だけです。自社の業態に対して必要な型が入っているか、同業他社と比べてどうかまでは分かりません。

私たちが公開しているコンバージョン偏差値スキャナーでは、URLを入力するだけで、この記事で使った603サイトと同じ基準の診断を受けられます。構造化データを含むAI検索対策に加えて、SEO集客・サイト基盤・UI/UXの4軸50項目を採点し、同業種の中での偏差値として結果が出ます。登録は不要で、2〜3分で画面に表示されます。

20業種の総合スコアを一覧で見たい方は、20業種603サイトの業種別ベンチマーク総覧もあわせてご覧ください。

まとめ

裏を返せば、ここはまだ競合も手をつけていない領域です。同業の9割が未実装という状態は、先に入れた会社が取るという意味でもあります。

まずは自社サイトの現在地を確認するところからです。URLを入れるだけの無料診断で、同業種の中での位置が偏差値で分かります。

Free diagnosis

自社のホームページの急所は、どこか

この記事で触れた項目を含む4軸50項目を、URLひとつで採点します。結果はその場で表示。所要時間は2〜3分です。

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滝沢 哲平の写真

記事の監修

CROディレクター

2007年、Eコマースビジネスの立ち上げを機にWeb解析の世界に触れ、以降、サイト分析から改善アクションのPDCAを粘り強く回し続けた結果、1年で2億円規模の事業へと成長させる。

10年以上にわたり、中小企業から大企業まで累計100社を超えるBtoB企業のコンバージョン率改善(CRO)で成果を上げている。

近年はAIを活用した分析・改善業務の効率化と、生成AI検索時代のマーケティング戦略に注力。

この診断プログラムは、普段の有償コンサルティングで最初に確認している観点を、そのまま自動化したものです。採点基準と改善提案の文面を監修しています。

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