サイトのコンテンツを最後まで読んでもらえたのに、そこから先の行動導線が無い。読了という一番おいしい瞬間を、サイト側が自分で捨てているケースがどれくらいあるのか、実測で確かめました。
20業種603サイトを同じ基準で診断したデータのうち、今回は「追従CTA」――スクロールしても画面のどこかに表示され続ける行動導線――に絞って集計しています。この記事の数字はすべて、2026年9月時点・603サイトの実測値です。
603サイトの実測:追従CTAが低評価のサイトが60%
診断項目のひとつに「CV-06」があります。ページをスクロールしていったときに、問い合わせや資料請求、来店予約といった行動導線が画面のどこかに残り続けているかを評価する項目です。ファーストビューにボタンが1個あるだけで、そこを過ぎると消えてしまうサイトは、ここで低い点数がつきます。
603サイトでCV-06のスコアを集計すると、次の結果になりました。

**CV-06が40点以下の「低評価」サイトは360件。全体の60%**です。10社のうち6社が、スクロールした先で行動導線を見失う設計になっています。裏を返せば、低評価でない243件(40%)は、何らかの形でCTAを画面に残し続ける工夫をしているということでもあります。
低評価になる典型パターンは、実際に診断していると大きく2つに集約されます。
ひとつは、CTAがファーストビューにしか置かれておらず、そこを過ぎると二度と現れないケースです。トップページを開いた瞬間は「無料相談はこちら」のボタンが目に入るのに、少しスクロールした途端に画面から消え、あとはフッターまで一切現れません。もうひとつは、フッターまで問い合わせボタンが無く、そこにたどり着く人自体が少ないケースです。ボタンは確かに「ある」のですが、ある場所が読了直後の一等地ではなく、ページの一番下という誰も通らない場所に置かれています。
どちらのパターンにも共通するのは、「CTAが存在しない」のではなく、「CTAが必要な瞬間に、ちょうど画面から消えている」ということです。これは実装漏れというより、設計段階でCTAの位置を1箇所しか想定していないことが原因です。
CTAの「有無」と「追従」は別の話
もうひとつ、診断していて分かりにくいと感じるのがこの点です。CTAボタン自体は、603サイトのほとんどに存在します。問い合わせページへのリンクが1つも無いサイトはむしろ稀です。低評価になっているのは、ボタンが「無い」からではなく、スクロールに応じて画面内に「留まらない」からです。
つまり実装レベルで見ると、サイトは大きく3段階に分かれます。ボタンがファーストビューにしか無い段階、ボタンはページ内の複数箇所に散らばっているが画面に固定はされていない段階、そして画面下部や画面端に固定表示され、スクロール中も常に見えている段階です。CV-06が高得点になるのは最後の段階だけであり、今回の360件はこの最後の段階に届いていないサイトということになります。自社サイトがこの3段階のどこにいるかは、無料診断でCV-06のスコアとして数値化されます。
なぜこの問題が起きるのか:ページの長さとの関係
この問題がなぜこれほど広く起きているのか。答えの半分は、ページそのものの長さにあります。
今回診断した603サイトについて、モバイル表示時のページの縦の長さ(レンダリング高さ)を計測しました(有効データ602件)。

中央値は8,403px、最大は61,782pxでした。スマートフォンの画面1枚分をおよそ800pxとすると、中央値のページでもスマホ画面10.5枚分、最も長いサイトでは77枚分に相当します。指でスワイプする回数に直すと、中央的なサイトでも10回以上、長いサイトでは70回以上スワイプしないと最後まで到達できない計算です。
さらに、**ページ丈が10,000pxを超えるサイトは239件、全体の40%**にのぼります。5社に2社は、スマホで見たときにこの水準の長さのページを公開しているということです。事例紹介、実績一覧、料金プラン、よくある質問、会社概要と、コンテンツを1ページに積み上げていけば、この長さに達するのは自然なことでもあります。
そして、追従CTAが低評価だったサイト(先述の360件)に限って平均ページ丈を出すと、9,276pxでした。全体の中央値(8,403px)よりも長い水準です。つまり、ページが長いサイトほど追従CTAが無い傾向にあるという、実務の直感どおりの相関がデータにも表れています。ページを頑張って長く作り込んでいる会社ほど、その労力に見合う導線設計まで手が回っていない、という構図です。
なぜページが長くなるほど、追従CTAが必要になるのか
これは20年ほどWeb解析とCROの現場を見てきた立場から言うと、理由がはっきりしています。ユーザーがサイトを読み進める間、「行動を起こしたい」という気持ちは一直線に高まっていくわけではありません。導入部分を読んだ直後、事例を読んだ直後、料金や実績の数字を見た直後など、ページのあちこちで「行動する気持ちが一時的に跳ね上がる瞬間」が、飛び飛びに、しかも読む人によって違う場所で発生します。
ページが短ければ、ファーストビューに置いたCTA1個でも、その「跳ね上がる瞬間」の大半を拾えます。読み終わるまでの距離が近いからです。しかしページが長くなるほど、その瞬間とCTAの物理的な距離が開いていきます。追従CTAが無いサイトでは、行動する気持ちが一番高まった瞬間に、指を伸ばせる場所にボタンが無いという取りこぼしが、ページの長さに比例して増えていきます。8,403pxという中央値も、61,782pxという最大値も、そのままユーザーが「もう一度スクロールしてCTAを探しに戻る」手間の大きさを表していると考えていいでしょう。
ページを長くすること自体は悪いことではありません。事例や実績を厚く見せることは、むしろ来店・来院・問い合わせの後押しになります。問題は、ページを長くした分だけ、CTAを追いかけさせる設計を足していないことです。長さと導線はセットで設計するべきものですが、実際には長さだけが先に伸びて、導線が置き去りになっています。
なお、ページをまたいでCTAの見え方が一貫しているかどうかは、この記事では扱いません。それは1ページの中の話ではなく、ページ遷移をまたいだ別の問題であり、ヘッダーCTAの一貫性を扱った記事で取り上げています。ここで見ているのは、あくまで1ページの中でのスクロール位置とCTAの関係です。
見積書にも解析データにも出てこない項目
構造化データと同じように、追従CTAにも「なぜ後回しにされやすいか」の構造があります。サイトのリニューアルを発注するとき、見積書に並ぶのはトップページのデザイン、下層ページの本数、CMSの選定といった、目に見える成果物です。追従CTAは、いわば1個のパーツを固定表示するだけの機能であり、デザインカンプの段階では「ボタンが1個増えるだけ」に見えてしまいます。発注側からすると重要度が伝わりにくく、制作側からしても、これを提案したところで見積もりの金額が上がるわけでもないので、あえて言い出さないというケースが多いのが実情です。
さらに厄介なのは、追従CTAが無いことによる機会損失は、アクセス解析の画面には数字として現れないという点です。「スクロールしてCTAが見えなくなった場所で離脱したユーザー」を、標準的なアクセス解析ツールは特別扱いしてくれません。離脱率やコンバージョン率は出てきますが、その原因が「CTAが追いかけてこなかったから」だとは教えてくれないのです。結果として、直しても直さなくても数字上の違いが見えにくく、優先順位が上がらないまま放置されます。ページが長いサイトほどこの機会損失は大きくなるはずですが、長いページほど作り込みに労力がかかっているため、追従CTAという小さなパーツにまで手が回らないというねじれも起きています。
あなたのサイトではどう判断するか
自社サイトが該当するかどうかは、次の順で確認できます。
1. まずページの長さを疑う。 スマホでトップページや主要な下層ページを開き、指で何回スワイプすれば最後まで到達するか数えてください。10回を超えるなら、中央値の8,403px前後、あるいは10,000px超の239件と同じ水準にいる可能性が高いということになります。
2. 次にCTAの追従を確認する。 そのページをスクロールしている間、問い合わせや資料請求、予約のボタンが常に画面のどこかに見えているか。ファーストビューを過ぎた瞬間に消えるなら、CV-06が低評価になる典型パターンに当てはまります。
3. ページが長い業種ほど優先度を上げる。 事例紹介や実績、導入の流れを厚く見せる業種――BtoBのサービスサイトや、施工事例を並べる業種などは、ページが長くなりやすい構造そのものは合理的です。だからこそ、追従CTAの有無が結果に直結しやすい業態でもあります。逆に、ページが短くコンパクトなサイトであれば、追従CTAの優先度は相対的に下がります。まず自社のページ丈を測ってから優先度を判断するのが順番として正しいやり方です。
4. 導入の手間は小さい。 追従CTAの実装は、デザインを作り直す必要はありません。多くの場合、既存のボタンを画面下部や画面端に固定表示するコンポーネントを1つ追加するだけで対応できます。見た目の変更が最小限で済む割に、行動導線の見え方への影響が大きい部類の改善です。制作会社に依頼する場合も、「スクロール中も問い合わせボタンを画面下部に固定表示してほしい」という一文で意図が伝わります。逆に「CTAを強化してください」とだけ伝えると、ボタンの色や文言を変える提案が返ってくることが多く、スクロール追従という本質的な部分が抜け落ちがちです。依頼するときは、位置の固定という要件をはっきり指定してください。
5. 設置場所は1箇所とは限らない。 ページが長いサイトほど、画面下部に固定するバー型のCTAに加えて、事例紹介や料金表など「行動する気持ちが跳ね上がりやすい」セクションの直後にもボタンを置くと、追従CTAだけでは拾いきれない瞬間を補完できます。ただし置きすぎるとページ全体がボタンだらけになり逆効果なので、まずは画面下部への固定表示だけを優先し、そこから先はページごとの反応を見ながら足していくのが現実的な進め方です。
自社サイトのCV-06の評価と、実際のページの長さがどうなっているかは、コンバージョン偏差値スキャナーで確認できます。URLを入力するだけで、追従CTAを含むUI/UX項目を含めた4軸50項目を採点し、同業種の中での偏差値として結果が出ます。登録は不要で、2〜3分で画面に表示されます。
UI/UX軸そのものが20業種の中でどう並ぶかは、20業種603サイトの業種別ベンチマーク総覧で一覧にしています。
まとめ
- 603サイトの実測で、追従CTAが低評価(CV-06≤40点)のサイトは360件、**全体の60%**だった
- モバイルのページ丈は中央値8,403px、最大61,782px。**10,000px超のサイトが239件(40%)**ある
- 追従CTAが低評価のサイトの平均ページ丈は9,276px。全体の中央値より長く、ページが長いサイトほど導線が追いついていない傾向が見える
- ページが長くなるほど、行動する気持ちが高まる瞬間とCTAの物理的な距離が開く。追従CTAはその距離を埋める役割を持つ
- ヘッダーCTAの一貫性(ページをまたいだ話)は別の論点であり、別記事で扱う
まずは自社サイトのページの長さと、CTAが追いかけてくるかどうかの2点を確認するところからです。URLを入れるだけの無料診断で、同業種の中での位置が偏差値で分かります。

